「元気塾ユニオンハート」は被災地から避難して札幌及び近郊で暮らしている子どもたちへの学習支援活動です。
札幌地区連合会はじめ多くの方達からの応援をいただきながら、2013年から札幌市教職員組合の有志の先生たちと年に2回夏休みと冬休みに実施してきました。

<1日目> 8月7日(火)10時~15時
会場: かでる2.7 1030会議室
参加: 小学生6名 中学生5名 計11名(病欠3名)
ボランティアの先生14名  スタッフ4名

元気塾では最年長のKくんが3月に高校を卒業し、高校2年生のHさんは7月に1年間のアメリカ留学に旅立ちました。
第11回目となるこの夏はかわいらしい小学1年生が二人新たに加わりました。

これまでずっと「札幌エルプラザ」を会場としてきた元気塾ですが、今回は日程と会場の空き状況が折り合わず、はじめて「かでる2.7」での開催となりました。10階の眺めの良い会場の窓からは北大植物園の大きな木々が見下ろせます。
早目に到着した子どもたちは一緒に会場準備を手伝いますが、廊下の看板や先生たちの控え室は子どもたちが担当します。

開始の10時を前に、参加の子どもたちやボランティアの先生たちが到着しはじめ、冬の元気塾以来久しぶりのにぎやかな再会となりました。伸び盛りの子どもたちはこの半年間でずいぶん大きくなっていました。

いつも心のこもった手作りおやつを直接届けて下さる札幌友の会のみなさんも加わりながら、初日の「朝の会」では一人ずつ全員で自己紹介。子どもたちは自分がどんな勉強をしたいのかも先生たちに伝えました。

午前の勉強タイムが始まり、夏休みの宿題を中心に小学1年生から中学3年生まで、全員が1対1で先生にじっくり教わりながら、2時間という長い時間集中して勉強を進めます。トイレ以外に席を立つ子はいませんし、低学年の子も感心するくらいの集中力でお昼ごはんの時間までがあっという間です。

机を並べ替え、小学生、中学生、先生とスタッフがみんな並んでのお昼ごはんは、冬からの半年間のできごとや、夏休みの自由研究についてなどおしゃべりを楽しむ時間でもあります。

実は今回、お昼ごはんを食べたあとの休み時間を子どもたちはどう過ごすか、ということが少し心配でした。
エルプラザでは元気塾会場の隣りが「環境プラザ」となっているので、子どもたちはそのスペースで体を伸ばし、午後の開始時間まで遊ぶのが恒例でしたが、今回の「かでる2.7」は会場内で過ごさなくてはなりません。退屈してしまわないかな、午後の勉強タイムまでの気分転換がうまくできるかな、と思っていたのですが心配はいりませんでした。勉強用にメモや計算用紙として置いてあった紙で誰かが紙飛行機を作って飛ばし始めると、先生がよく飛ぶ飛行機を作るコツを教えてくれて、いつの間にか室内はたくさんの紙飛行機がスイスイ飛びまわるようになっていました。

いつも通り、午後のはじめの1時間にみんなしっかり勉強すると、残りの1時間はこれも恒例の「お楽しみタイム」です。
今回のお楽しみは、折りたたんでいくとそれぞれ4つずつある色のマスが一面に合わさるという紙のパズルでした。参加生は小学1年生から中学3年生までと幅広いのですが、こういうパズルは学年に関わらず楽しめるので、教えたり教えられたりしながら、8色あるパターンが全て完成。
準備と指導をして下さった先生も、「本当に8パターンがそろえられるということを、僕も初めてこの目で見ました」とニッコリ。

こうして1日目は順調に終わりとなりましたが、「帰りの会」でお迎えにきた保護者の方から、「震災と原発事故から7年が経ち、震災の年に生まれたうちの子どももこの春小学校に上がり、ようやく小学生向けのプログラムに参加できるようになりました。年々避難者への支援が少なくなっていく中、このように活動を続けて下さる団体があるということをとてもありがたく思います。」とのお話をいただきました。長い時間が経っても、支援を必要としている方々の状況はさほど変わっていないということを改めて強く感じさせられました。

<2日目> 8月8日(水)10時~15時
会場:かでる2.7 1030会議室
参加:小学生6名  中学生4名  計10名 (病欠2名)
OB1名   ボランティアの先生10名  スタッフ4名

この日のスペシャル参加は、この春高校を卒業したKくんでした。卒業後の毎日を充実して過ごしていることがひと目でわかる、さっぱりとした明るい表情でした。今回は「教える側」として来てくれたKくんは、前回まで一緒に勉強していた中学生たちの向かい側に座って勉強を教えてくれたり、中学生にとってはまだまだイメージのつかない「社会生活」についても話をしてくれたようでした。

午後の勉強タイム前にKくんにお願いして春からどんな仕事をしているのかみんなの前でもお話をしてもらいました。
Kくんは3月に高校を卒業して地元の病院で病棟クラークとして働きはじめたということでした。医師や看護師が患者さんの治療に専念できるよう、病室やベッドの環境を整えたり、入院患者さんのその日の予定をコンピューターで管理をしたり、事務処理上必要な書類を作成するのが主な仕事の内容だそうです。一緒に働くスタッフにも恵まれて、今年1年は現場で色々経験し、来年からは働きながら資格取得のための勉強をしてはどうかと勧められているそうです。ぜひ挑戦したいと、Kくんは生き生きした表情で小学生、中学生にもわかりやすく伝えてくれました。

子どもたちはすっかり社会人らしくなった先輩の姿にみんな憧れのまなざしでした。時間があれば冬にまた来てくれると約束してK君は早めに帰りましたが、仕事を始めて忙しい中、元気塾のために時間を作ってくれたことをとても嬉しく思います。

2日目も子どもたちはしっかり宿題を進め、帰りの会では、夏休みの宿題がほとんど終わった、全部終わった、分からなかったところが分かるようになった、と嬉しそうな顔で話す子がたくさんいました。小学生も中学生も先生たちと和気藹々と話しながら元気塾らしい雰囲気の中で学んだ2日間でした。こうして第11回元気塾は無事終了となりました。

北海道の発表によると、2018年6月14日現在、道内の避難者数は1,755人で、母子避難のまま頑張っておられる家庭もまだまだ沢山存在しています。原発事故から8年目となる中で元気塾に参加すること、友達と再会することを楽しみにしている子どもたちの気持ちを大切にしてあげたいと思います。
有志の先生たちはじめ今回もこの活動を支えてくださった多くの方達に心から感謝を申します。